Longneck of Naisoi 〜首が長い為に

更新日: 2008 年 6 月 27 日

甘いお話

「な~ラップライ、お前の妻と娘は凄い首が長いんだって?
 それなら俺に付いてこいよ、楽な生活出来るぞ。
 住む場所も金も手に入る、仕事もしなくていい。
 ただそこにいるだけでいいんだ。」

とポスーは誘うが、こんな甘い話を鵜呑みにする程ラップライもバカじゃない。
しかし、ポスーの営業トークは素晴らしく、ああだこうだ言われてるうちにラップライは
「ちょっとやってみようかな?」なんて気分になってしまった。

首長族ビジネスのスタート

覚悟を決めたラップライ一家は首長族の仲間を集い、3家族でミャンマーの山奥からタイに不法入国し、質素な家を立てた。そこでポスーが連れてくる客に写真を撮られ、ポスーから金を貰うやさしい首ビジネスが始まった。しかし立地条件が悪く、来る客はやはり学者のみ、予定していた庶民が来る事はなかった。そこでポスーは車で簡単に来れる場所まで首長族を移動させる事にした。

だがそうすると問題が発生する。政府に見つかれば不法入国者として追い返されてしまう首長族。その彼等を堂々と観光客に紹介出来る訳がない。ポスー自身が牢獄行きになってしまう。その上、首長族と仲の良いゲリラから「仲間である彼等で商売するなら分け前を!」と言う声も出て来てしまった。悩んだポスーは、政府の役人とゲリラにショバ代を払う事にした。政府は首長族を表向きを難民として扱って売上の一部を吸い上げ、ゲリラは武器調達の資金の窓口という最高のカタチになった。

祝1992年

裏の根回しも済みポスーは現在のナイソイ村と呼ばれる場所に3家族を移動させた。すると今までアンダーグラウンドだった首ビジネスは表に広がり、ナイソイ村を仕切っていたポスーは大金を得た。しかし観光客に知れ渡れば、当然他の旅行会社の耳にも入る。

「堂々とタイ国内で首ビジネスが出来るなら独占は違法じゃないですかぁ?」

この声には流石のポスーも逆らえなかった。この時に全ての旅行会社が平等の権利を持ち、誰もが簡単に首長族を見物できる観光システムが出来上がる。旅行会社はツアー料金として分け前を取り、首長族はツアー客達からの入村料900円を取って生活している。このシステムはミャンマーに残っている他の首長族にも伝わり、見せ物になるとしてもミャンマーでの生活よりは「マシ」とナイソイ村の人口は増えていった。

今日のタイ政府は彼らをミャンマーに追い返すと大切な観光収入を失う事になり、難民として受け入れると村を離れる自由を与えてしまう為、曖昧なポジションで彼等を管理している。一方、首長族は不法入国者でも難民でもなくなり、村の外に出る事も規制され、ゲリラには武器資金と見られ、ツアー客らにトイレすら開放しながらの生活を続けている。

首ビジネスを始めた頃のラップライ

見せ物村として十数年、自分で決断した人達はともかく、その子供達にしたらこの上ない苦痛だろう。毎日ビックリされ、意味なく贈り物を貰い、「なんかもう、メジャーだよね~?」なんて言われた日には真っ白になるだろう。

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